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誤嚥性肺炎とは? 高齢化が進む社会で取り組むべき重要なテーマ

一般社団法人 日本慢性期医療協会会長 武久洋三先生

世界でも類をみない超高齢社会となった日本において、肺炎で入院する方の数は増加し続けています。高齢者の肺炎のうち7割を占める「誤嚥性肺炎」は、これからの慢性期医療における重要なテーマといえるでしょう。


*誤嚥性肺炎とは?

  • 食道にいくべき唾液などが気道に入り肺に炎症が起きた状態

誤嚥性肺炎とは、本来食道にいくべき唾液や食べ物・飲み物などが、誤って気道に入り(=誤嚥)、肺に達することによって炎症が起きた状態をさします。誤嚥性肺炎は、高齢者に多くみられる病気です。


*慢性期医療において重要となる「誤嚥性肺炎」

日本では高齢化が進み、肺炎によって入院する方の数は増加し続けています。高齢者の肺炎のうち7割を占める「誤嚥性肺炎」は、これからの慢性期医療における重要なテーマといえるでしょう。

 

  • 慢性期医療の特徴、難しさ、面白さが詰め込まれた代表的な疾患

人間は、年齢を重ねるほどにさまざまな身体的問題が積み重なります。大病をしたり、障害を抱えたりした場合には、さらに多くの問題が積み重なっていきます。慢性期病院に入院してくる患者さんの多くはそのような方々であり、大小様々な問題を複数抱えています。解決すべき問題がひとつではなく複数同時に存在していること、そしてそれらの問題がお互いに関連しているため、複数の問題を同時に解決しなければならないこと。それが慢性期医療のもっとも難しいところであり、そして面白いところなのです。

誤嚥性肺炎は、慢性期医療の特徴と難しさ、面白さのすべてが詰め込まれたような代表的な疾患です。誤嚥性肺炎は、運動機能低下、多臓器機能低下、低栄養、認知症、嚥下障害など複数の問題がベースにあり発症します。抗菌薬治療によって肺炎自体が治癒しても、それだけでは、寝たきり、経管栄養になってしまいます。そうならないためには、それらの問題すべてに対して適切に対処しなければならないのです。


具体的には、それぞれの問題に対して以下のような対応が必要です。

 

  • 運動機能低下:理学療法や作業療法
  • 嚥下障害:嚥下訓練や適切な食事形態の評価・提供、適切な食事姿勢・誤嚥を防ぐポジショニングの徹底、嚥下機能を低下させる薬剤の変更・中止
  • 低栄養:栄養補助食の提供や嗜好食の調査・提供、必要に応じて適切な人工的水分・栄養補給
  • 認知症:環境調整や薬剤調整、作業療法など

 

また、これらの対処とともに、入院中の廃用症候群を予防するための離床やリハビリテーションも実施しなければなりません。さらには、高血圧や心不全、腎機能障害など並存疾患の管理も必要です。

このように、誤嚥性肺炎の治療はあらゆる問題に気を配り対処することが求められます。しかしながら、手を抜かずに努力すれば、再び経口摂取が可能となり在宅復帰できる可能性も少なくはありません。

 

あらゆる問題に配慮しなければ、虚弱高齢者の誤嚥性肺炎を在宅復帰させることは確かに困難です。呼吸器学会等では、治癒の可能性が低い患者に対して積極的な治療を控えるという選択肢を示すようになっています。しかし、これはあくまでも、上記のような細やかな対応をすることを前提としていない急性期仕様の考え方です。我々慢性期医療者は、あらゆる問題に細やかに対処することにより、諦めることなく誤嚥性肺炎に対峙していきたいと考えています。


「誤嚥性肺炎」に関連する記事は、以下をご覧ください。

・薬物による誤嚥性肺炎の予防

・超高齢化社会において注目される「誤嚥性肺炎」とは? その薬物治療について

・誤嚥性肺炎のリハビリテーション栄養

・ACPに沿った誤嚥性肺炎の薬物治療

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