病気 2018.06.16
薬物による誤嚥性肺炎の予防
東京大学医学部附属病院 老年病科科長 秋下雅弘先生
誤嚥性肺炎は高齢者に多くみられる病気であり、これからの慢性期医療において重要なテーマになると考えられます。誤嚥性肺炎は、治療薬の選択によってその発症や再発を予防するという考え方があります。
*薬物による誤嚥性肺炎の予防
- 基礎疾患がある+誤嚥性肺炎のリスクが高い場合に選択を推奨する薬物
以下の通り、誤嚥性肺炎の予防に効果を持つ薬物があります。
- ACE阻害剤
- カプサイシン
- ドーパミン作動薬
- シロスタゾール
- 葉酸
- 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
- メンソール
- 黒胡椒アロマパッチ
- クエン酸モサプリド
基本的には、基礎疾患がある+誤嚥性肺炎のリスクが高い場合に、これらの薬物を選択するという考え方です。たとえば、患者さんに基礎疾患があり、誤嚥性肺炎のハイリスク群であるとき、胃薬なら「クエン酸モサプリド」を、抗血小板薬なら「シロスタゾール」をまず考慮するということです。
- 再発のリスクを下げるために肺炎球菌ワクチンの接種は有効
誤嚥性肺炎の起因菌として、肺炎球菌が多くみられます。基本的には、肺炎球菌による肺炎を起こした場合、再発のリスクを下げるために「肺炎球菌ワクチン」を接種します。
なお、2014年からは65歳以上の方(諸条件あり)を対象に、肺炎球菌ワクチンの定期接種が開始されました。