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「病名や臓器という枠にとらわれず、患者さんと向き合う」総合診療の魅力

東邦大学医療センター大森病院 院長 瓜田純久先生

わが国では、高齢化の進展によって複数の疾患を抱えた患者さんが増加し、これまでの「臓器別・疾患別」という枠を超えた、「総合診療」のニーズが高まっています。東邦大学医療センター大森病院 院長、同 総合診療・急病センター(内科)センター長を務める瓜田純久先生に、総合診療医の魅力についてお話を伺いました。


総合診療の魅力とは?

  • 病名や臓器という枠にとらわれず、患者さんと向き合う

「きっと私が総合診療科だったからこそ治せたのだろう」と思える患者さんがいます。

その方は意識障害と痙攣の症状があり、大森病院に運ばれてきました。当時、脳神経系にかかわる診療科が必死に診断をつけようとしましたが、とうとう原因が特定できず、結果的に総合診療科がみることになりました。

 

それまで2週間もの間、診断もつかず症状が改善しなかったため、ご家族は回診のたびに私の腕をつかみ、「先生、どうにかしてください」と必死に訴えました。「たとえ病名がつかなくても解決の糸口は必ずあるはずだ」と思考回路のウイングを広げ、病名探しをやめて、目の前の患者さんの症状を改善しようと思いました。

 

まず、筋痙攣を軽減する薬を投与しましたが効果がみられず、この方法で神経細胞の興奮を抑制するのは難しいとわかりました。そこで、あってはいけない同期が痙攣の原因ではないか?と考えて、同期を解除する薬を投与しました。すると、とうとう痙攣が止まったのです。この症例のメカニズムは、ホタルの発光がシンクロする現象とよく似ています。その患者さんはその後、徐々に会話もできるようになり、2か月ほどで退院されました。

 

このように、総合診療医は、病名や臓器という枠にとらわれず、目の前の患者さんに向き合う必要があります。それが、総合診療の難しさでもあり、醍醐味でもあるのです。

 

病名というのは、人が考えた単なる定義であり、医療情報の集合でしかありません。実際には、病名という枠にあてはまらない患者さんはたくさん存在して、助けを必要としているはずです。私たち総合診療医は、持ちうる知識と経験を総動員して、患者さん1人1人と向き合う使命がある。そして、それが総合診療の醍醐味ともいえるでしょう。


瓜田純久先生からのメッセージ

「聴診器1本」という言葉がありますが、医療機器を使わずに問診と診察だけで治療する場面は、現代でも意外に多いように思います。そのような場面で、すぐに役に立てるのは総合診療医ではないでしょうか。画像診断や臨床検査をすぐに実施できる病院では、松越しでの診察の回答をすぐに確認することができます。これから総合診療医を目指す方々には、ぜひ、丸腰で患者さんに向き合う楽しさを知っていただきたいです。

 

記事3では、総合診療医と地域医療のかかわりについて、記事4では、瓜田先生のこれまでのあゆみをご紹介します。

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