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永生会における慢性期医療の実践—②摂食嚥下ケア・排泄ケア

衆議院議員 安藤高夫先生

安藤高夫先生が理事長を務める永生会と明生会は、八王子市や渋谷区を中心に医療介護サービス施設を幅広く展開し、認知症、摂食嚥下、排泄などに対するケアを徹底して行っています。永生会では、どのように慢性期医療を実践されているのでしょうか。


永生会が実践する「摂食嚥下ケア」

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)とは、唾液や食べ物・飲み物などが食道ではなく気道に入り、肺に達することによって炎症が起きた状態をさします。誤嚥性肺炎は高齢者に多くみられる病気であるため、慢性期医療において重要な要素といえます。

*誤嚥性肺炎について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

  • 肺炎、脱水、低栄養の状態を観察
  1. 元気があるか
  2. 食欲低下の有無、体重減少
  3. 皮膚の乾燥状態、口腔乾燥、尿量減少(脱水)
  4. 摂食中・食後のむせや咳の有無(嚥下に問題がありそうな場合はSTへ嚥下の評価を依頼し、水飲みテストなどを実施する)
  5. 痰の量や性状、咳嗽の有無
  6. 発熱の有無(誤嚥性肺炎の疑い)
  7. 歯科的な観察
  8. 経管栄養やPEG(胃ろう)からの栄養剤の逆流がないか

 

  • 摂食嚥下ケアの内容

1.  口腔内の残渣の点検、口腔ケア

食前(必要時)、食後の歯ブラシによるブラッシングや舌の掃除、歯がない場合はガーゼによるふきとりを行う。また、入院時に希望者にはアイ・デンタル・オフィス(訪問診療 歯科医)へ定期的な口腔ケアや義歯調整などを依頼できます。


2.  食事中や食後の姿勢に気をつける

離床できる場合は、車椅子または椅子に腰かけてもらい食堂で食事を摂取します。車椅子の場合は、できるだけ足底を床につけてもらう姿勢をとります。ベッド上の場合は、足を踏ん張れる姿勢になるよう、足底にクッションを置き、ベッドをギャッジアップして背もたれをつくります。頸部前屈や健側傾斜姿勢(健側を下にした側屈位または傾斜姿勢)などの調整を行います。

 

3.  環境設定、自助具の工夫、薬物調整

食事に集中できるような環境を整えます。食事の際には、一口量が多くならないよう、必要時はパフェスプーンを使用します。常用薬のなかには嚥下障害を悪化させるものもあるため、主治医に薬の内容を確認します。

 

4.  ADL(日常生活動作)の改善

病棟で行うレクリエーションを活用し、できるだけ離床を促します。

 

5.  食材の工夫

ST(言語聴覚士)に嚥下の評価を依頼し、患者様個々に合う食形態を選びます。栄養士とも協働し、摂取カロリーを上げるために補助食品を付加していきます。必要時には、とろみ剤を使用します。

 

6.  間接訓練、直接訓練

主治医から摂食評価の依頼がある場合は、間接訓練、直接訓練を依頼します。

 

7.  逆流による誤嚥を防ぐ

実用的な経口摂取が不可能で、経管栄養やPEGからの栄養剤注入の場合は、逆流による誤嚥を防ぐため、粘度調整食品の使用や、食後の体位の調整を行います。

 

8.  嚥下体操の実施

食事の前には、嚥下体操を実施します。嚥下体操を行うことで、口、舌、頰の筋肉などを刺激し、唾液の分泌を促します。


永生会が実践する「排泄ケア」

  • 排泄委員会を設置し、評価、勉強会などを適宜行う

看護部では「排泄委員会」を設置し、各病棟のオムツ使用に関して、増減などを中心に評価を行なっています。大幅な増減が認められた場合には、使用量について病棟でカンファレンスを実施します。

また、看護部排泄委員会では、院内で統一した排泄ケアを行うために、マニュアルの改訂、事例をもとにした勉強会などを実施しています。


  • 院内で統一した排泄ケアを行うための指導体制

中途入職者研修では、介護未経験の方でもわかりやすいよう、マニュアルを使用してオムツ交換の方法を指導します。さらに、病棟配属になってからもマンツーマンで指導を行います。このような指導体制により、院内で統一した排泄ケアを実現しています。

 

  • 自立排泄に向けて毎週「排泄カンファレンス」を実施

患者様がトイレで自立排泄できることは、人の尊厳やQOL(生活の質)を維持するために大切な要素です。そのため、各病棟では毎週「排泄カンファレンス」の時間を設け、バルーン抜去やトイレでの自立排泄、排便コントロールなどについて職員で話し合います。

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