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鳴門山上病院における薬剤師の活躍

鳴門山上病院 薬剤科主任 熊野晶子さん

鳴門山上病院の薬剤師は、病院の運営管理を担う各種委員会活動にも参加し、病院スタッフの一員として活躍されています。そして、最適な薬物療法を目指して工夫し、チームで検討を重ねるなかで、“患者さんに寄り添う心”を持ち続けることの大切さを実感したそうです。

同院の薬剤科長を務める賀勢 泰子(かせやすこ)さんと、薬剤科主任を務める熊野 晶子(くまのしょうこ)さんに、院内における薬剤師の活躍や、薬剤師の仕事にかける思いを伺いました。


鳴門山上病院薬剤科スタッフの活躍

各種委員会活動への参加

当院の薬剤科は、医薬品情報システム部門、医薬品管理部門、調剤・製剤部門、医薬品安全情報管理部門、臨床薬学部門という五つの部門に分かれています。それぞれの部門の長を薬剤師が担当し、日々の薬剤師業務に取り組んでいます。

また、薬剤師は、当院の運営母体である久仁会が運営する各種委員会にも参加します。久仁会の委員会組織は、大きく分けて医療安全部門、医療サービス部門、運営管理部門という三つの部門から成り、32の常設委員会を有します。医療安全部門の感染防止委員会や医薬品安全管理委員会、医療サービス部門の情報管理委員会や倫理委員会などにおいて、薬剤師の知識を生かして活躍しています。

委員会に参加した薬剤師は、そこで得た情報を薬剤科に持ち帰り、スタッフと共有します。それにより、当科のスタッフ全員が、病院全体の運営の流れを理解します。当科の強みは、スタッフ全員が、院内における自分たちの役割を考えながら行動できることだと思っています。

 

患者さんの情報を全ての職種が共有し、それぞれの知識をチーム医療に生かす取り組み

当院は、診療情報支援システムを用いて作成したデータベースで情報管理しており、患者さんの情報が入院時から蓄積されています。医師、看護師、介護士、薬剤師、栄養士、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、医療ソーシャルワーカーという多職種が、SOAP*の記録方式で入力しています。私たち薬剤師は、患者さんの服薬状況、何に注意して接するべきなのかなどの情報を入力します。各スタッフが入力した情報は、全ての職種のスタッフが知ることができます。このように、全ての職種が患者さんの情報を共有し、多職種のチーム医療に貢献する流れが始まったのは、診療情報支援システムを使用し始めた1998年頃のことです。今では、しっかりと当院に根付いています。

患者さんのカンファレンスに臨む際も、データベースを基に準備をします。相談事項があればカンファレンスの場で確認でき、スムーズな情報共有が可能です。

*SOAP:S(主観的データ)、O(客観的データ)、A(評価)、P(計画)の要素に分けて記録する記入方法。


鳴門山上病院薬剤科の今後の目標

 

これからはポリファーマシー対策を中心に取り組んでいこうと考えています。ポリファーマシー対策を実施するには、医師との連携が不可欠です。当院の医師からは、「薬剤師からもっと詳しく情報を提供してほしい」と言われているので、まずはその体制を薬剤師が構築し、その次に医師と協力して患者さんに適した薬物療法を考えていくことが課題です。

医師も患者さんも納得できるような根拠を示すためには、経済的に効果のあることを優先するだけではなく、患者さん一人ひとりに最適な薬物療法を考えていくことが重要です。そして、薬物療法の質を向上させ、患者さんのQOL(生活の質)を上げるために必要な視点を、スタッフのなかでの共通認識として持つようにしたいと思っています。

特に高齢の患者さんは、薬物療法を優先するとQOLが低下することがあります。診療ガイドラインや病院の指針に沿うだけにとどまらず、「この患者さんにとってのベストなQOLとは何だろう?」と、スタッフ全員が考えるようになることが理想です。そして、患者さんには「鳴門山上病院に来てよかった」、「こんな医療のサポートがあってよかった」と思っていただければ幸いです。私たちは、いつも患者さんに寄り添う心を持ち続けていきます。


病院薬剤師として働く後進へ、先輩からのメッセージ

 

薬剤師に対するニーズはさまざまで、その力が期待される場面はたくさんあります。スキルアップを図って自分の専門性を高めることとともに、「患者さんのために何ができるだろうか」と考え続けることが大切です。患者さんのために勉強しているのだと思えば、「自分たちのやっていることは患者さんのためになっているのか」と考える姿勢が、自然と身についてくると思います。

病院薬剤師の仕事の範囲は非常に広く、対応しきれないこともあるほどですが、ひとつとして無駄な仕事はないと思います。なぜなら、患者さんや自分に生かせる場面が必ず訪れるからです。仕事の幅が広いからこそ、「どうしてこんな仕事をしているのだろう」と疑問に感じることもあると思いますが、「後から学ぶべきことがあるから、今ここに関わっている」と考えて、ぜひ、目の前のことには全て真剣に取り組んでください。そして、病院薬剤師として関わるさまざまなことを楽しんでほしいと思います。

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