病気 2018.08.30
永生会における慢性期医療の実践—③栄養ケア・褥瘡ケア
衆議院議員 安藤高夫先生
安藤高夫先生が理事長を務める永生会と明生会は、八王子市や渋谷区を中心に医療介護サービス施設を幅広く展開し、認知症、摂食嚥下、排泄などに対するケアを徹底して行っています。永生会では、どのように慢性期医療を実践されているのでしょうか。
永生会が実践する「栄養ケア」
- 栄養管理業務
病棟担当者で栄養管理を行います。入院から退院まで、患者様の状態や喫食状態をモニタリングしながら、食事を調整します。栄養管理を積極的に行うことで、病状の回復、ADL(日常生活動作)の向上を目指します。
患者様が退院する際には、退院先でのスムーズかつ適切な栄養管理を目的として、行き先・関係先(病院、施設、自宅、訪問看護ステーション等)に対し「栄養情報提供書」を作成します。栄養情報提供書には、病院で提供していた食事の種類、食形態、とろみの有無と濃度、アレルギーや補助食品の有無と内容などについて記載しています。
- 給食管理
業務委託と連携し、給食管理を実施しています。病院側の栄養士と業務委託先のエリアマネージャー、現場の責任者、栄養士は、月に1回「給食会議」を行い、以下の項目について話し合います。
- 献立
- 行事食
- インシデントの分析
- 衛生管理
- 病棟から収集した意見
新しい食材や、より食べやすくなる調理の工夫については、試作・試食を行い、常に質の向上を目指しています。
- 食の地域連携
2015年に、食の連携を目指して「八王子嚥下調整食研究会」を発足しました。当会のおもな活動は、嚥下調整食一覧表の作成です。この一覧表は、摂食嚥下障害の入院患者様が、八王子市内で施設を移った際、安全に食形態を引き継げることを目的としています。
永生会が実践する「褥瘡対策」
褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪化あるいは滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。一般的に「床ずれ」ともいわれています。
- 「褥瘡対策委員会」による褥瘡予防
褥瘡は、予防することが非常に重要です。永生会では「褥瘡対策委員会」を設置し、褥瘡を予防するための体圧分散寝具などの管理、院内スタッフの啓蒙を目的とした勉強会を実施しています。医師や看護師に加えて、薬剤師や管理栄養士、リハビリスタッフがそれぞれの専門性を活かして連携をとっています。
1.週1回の定期ラウンド
2.臨時回診
3.月1回のチーム定例会
4.年3回ほどの院内勉強会
5.褥瘡(予防)対策
6.褥瘡治療の介助
7.褥瘡データと記録
- 病棟での褥瘡ケア
洗浄剤はすべて弱酸性に、愛護的な洗浄ケアを行う
入浴や褥瘡ケアにおいて、洗浄剤はすべて弱酸性のものを使用し、愛護的な洗浄ケアを実施しています。
オムツ交換時の洗浄剤は保湿性を重視
オムツ交換時の洗浄剤は、保湿性のあるものを使用しています。
マニュアルに沿ってマットを選択する
マットを選択する際には、マニュアルに沿って、エアーマット6種類、ウレタンマット8種類から適切に選定します。
体位変換は2〜4時間ごとに実施
病棟における体位変換は、マットの状態に合わせて2〜4時間ごとに実施します。また、ポジショニングとシーティングは、誰がケアしても正しい姿勢にできるよう、ベッドサイドにシートとして貼り出しています。
- 地域連携:勉強会の開催、同行訪問など
地域連携として、訪問看護ステーションで褥瘡に関する勉強会を行なっています。また、同行訪問(在宅の褥瘡保持者に対し、訪問看護ステーションの依頼を受けて家に訪問するシステム)を実施しています。