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高齢化社会と慢性期医療―衆議院議員 安藤高夫先生の視点から

衆議院議員 安藤高夫先生

世界でも類を見ない超高齢社会となった日本。今後の医療においては、人生100年時代を見据えた「健康寿命の延伸」がカギになるでしょう。高齢の方は加齢に伴う全身疾患や慢性疾患を抱えていることも多いため、高齢化が進む社会では、それらを総合的に診療できる「慢性期医療」の需要が高まると考えられます。


社会の変化に伴う医療ニーズの変容

  • 高齢化に伴い、回復期・慢性期医療のニーズは高まっている

いま、日本における2大政策は「地域医療構想」と「地域包括ケアシステム」です。

地域医療構想とは、2025年に向けて、病床の機能分化・連携を進めるために、医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を定めたものです。

 

地域医療構想では、病床の医療機能を以下の4段階にわけています。

 

  • 高度急性期
  • 急性期
  • 回復期
  • 慢性期

 

日本は、世界でも類を見ない超高齢社会となりました。高齢の方は加齢に伴いさまざまな臓器の機能が低下しているため、病気の際に随伴症状が起こり、短期間で治療を終えることのできないケースが多くみられます。

高齢化が進むなか、急性期を脱した患者様に対する「回復期医療」、あるいは長期的かつ全人的に治療を行う「慢性期医療」の需要は高まり続けています。このような変化のなかで、質の高い回復期・慢性期医療を提供することの必要性は高いと感じています。

 

  • 医学的な治療のみならず、さまざまなケアが必要に

高齢化の進展に伴い、単に医学的な治療のみならず、QOL(生活の質)を意識した患者様への幅広いケアが求められるようになりました。具体的には、以下が挙げられます。

 

  • 認知症ケア (詳しくは記事2をご覧ください)
  • 摂食嚥下ケア(詳しくは記事3をご覧ください)
  • 排泄ケア  (詳しくは記事3をご覧ください)
  • リハビリテーション
  • ターミナルケア
  • 在宅医療
  • 入退院支援

 

これらは現在、医療のなかで大きな要素を担っています。このように、社会の変化に伴い、医療のニーズは徐々に変容していくのです。たとえば、今後はサービス付き高齢者向け住宅や特別養護老人ホームなどにおいても、医療提供が必要になるでしょう。


医療に取り組まれる安藤先生の思いとは

  • マンパワーを投入して質の高い医療を提供し続ける意味

質の高い医療を提供するために、マンパワーが必要であることは確かです。経営面からは人件費は大きな課題になるのですが、手を抜かず大きなマンパワーを投入し、質の高い医療を継続的に提供し続けることこそが、医療・介護の質を向上させ、患者様の満足度をあげ、結果的に職員のモチベーションの向上につながります。つまり、患者様、医療者、地域社会の3者にとって価値のある「win-win-win」の関係が構築できうるのです。

 

  • これからはクオリティ&マネジメントが求められていく

これからの医療者において大切なことは「クオリティ&マネジメント」だと考えます。

まずは何より、医療の質(=クオリティ)を維持しなければなりません。そして、医療の質を保つためには、しっかりとした病院の運営(=マネジメント)が必要不可欠です。その意味で、これからは医療者にも経営的なセンスが求められることが予想されます。

 

複雑化している診療・介護報酬などの制度を理解し、病院の運営に還元できる医師は、これからますます重宝されるでしょう。

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