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医療・介護・生活支援を包括的に提供する−複合施設ベルアンサンブル

ベルピアノ病院 院長 戸田爲久先生

日本では、他国に類をみないスピードで高齢化が進展しており、2042年には65歳以上の人口がピークを迎えると予想されています。そのようななか、厚生労働省は、高齢の方々が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、地域の包括的なケア・サービス提供体制「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。

南大阪エリアで幅広いサービスを展開する社会医療法人 生長会/社会福祉法人 悠人会は、複合施設「ベルアンサンブル」を2012年に開設。18,768平方メートル(約5,700坪)の敷地にさまざまな施設と機能を備え、医療・介護・生活支援を切れ目なく提供できる体制を整えています。ベルアンサンブルの特徴と取り組みについて、ベルピアノ病院 院長の戸田爲久(とだ いく)先生にお話を伺いました。


地域包括ケアシステムを体現する複合施設「ベルアンサンブル」の特徴と取り組み

4つの施設で、医療・介護・生活支援を切れ目なく包括的に提供する

 

社会医療法人 生長会/社会福祉法人 悠人会は、南大阪エリアで40以上の事業所を展開(2019年6月時点)し、医療機関や福祉施設、専門学校、保育所など、あらゆるサービスを提供しています。

2012年に開設された複合施設「ベルアンサンブル」は、ベルピアノ病院(病棟:回復期リハビリテーション・医療療養・地域包括ケア)、ベルアルプ(特別養護老人ホーム)、ベルヴィオロン(サービス付き高齢者向け住宅)、地域連携・在宅療養支援センターの4施設で構成され、医療から介護、生活支援までを、切れ目なく包括的に提供できる体制を整えています。

 

 

このようなベルアンサンブルの取り組みの根底には、高齢者の医療・介護・住まい・交流の総合拠点を目指す「ベルアンサンブル構想」があります。ベルアンサンブル構想は、1979年、生長会の創設者 岸口繁氏が、来たる高齢社会に向けて提唱したケアユニットシステムの考え方を起点として、徐々に発展しました。


回復期・療養型の医療を提供する「ベルピアノ病院」

 

ベルピアノ病院は、回復期リハビリテーション病棟(48床)、医療療養病棟(96床)、地域包括ケア病棟(48床)の計192床を有し、当法人内で唯一、回復期医療と慢性期医療を担う病院です(2019年6月時点)。

 

また、通所リハビリテーションセンター(定員150名)では、在宅療養でリハビリを希望する方や、退院後もリハビリを希望する方のために、短時間型リハビリ(1〜2時間)から1日型リハビリ(6〜8時間)まで、利用者さんの状態や希望に応じて、さまざまな形でリハビリを提供しています。

 

広々としたベルピアノ病院のリハビリテーション施設

 

病棟別の平均在院日数(2018年度データ)は以下のとおりです。

 

✔︎ 医療療養病棟    76.9日

✔︎ 回復期リハビリ病棟 78.6日

✔︎ 地域包括ケア病棟  45.0日

 

当院の基本方針は「帰ろう、住み慣れた街、住み慣れた家へ」であり、「ときどき入院、ほぼ在宅」の実現を目指しています。入院という形で患者さんを受け入れるだけでなく、急性期の治療を継続しながらパートナー*を早期に在宅療養へとつなぎ、可能な限り自宅で過ごせるよう支援しています。この方針は、ベルアンサンブルの開設準備がスタートした頃から一貫しています。

*社会医療法人 生長会/社会福祉法人 悠人会では、お互い対等に協働し合う関係やあり方として、患者さんや利用者さん、そのご家族を含め、法人とかかわりのある方全てを「パートナー」と呼称している


特別養護老人ホーム「ベルアルプ」

 

特別養護老人ホーム「ベルアルプ」は、入居定員100名(入所80名、ショートステイ20名)、全室個室です。ユニットケアの特性を活かし、一人ひとりの生き方や価値観を尊重した生活支援を行っています。

 

 

ベルアルプでは、自宅での生活との継続性を重視して、お部屋には馴染みの家具や生活用品などを持ち込むことができます。また、クラブ活動や季節のレクリエーションなどの余暇活動を通じて、社会的交流の機会を多数設けています。

医療的管理が必要になった場合には、併設のベルピアノ病院によるサポートを行います。このように、同じ敷地内に病院があることで、パートナーにはよりいっそう安心してベルアルプでの生活をお送りいただけると考えています。


サービス付き高齢者向け住宅「ベルヴィオロン」

 

サービス付き高齢者向け住宅「ベルヴィオロン」には、73戸の居住空間があり、全室にキッチン、浴室、トイレ、収納庫、バルコニー、緊急通報ボタンが設置されています。ご夫婦や親子など、ご家族との同居も可能(賃借料は単身と同一料金、生活支援サービス費は2名分)です。

 

ベルヴィオロンでは、利用者さんの生活スタイルに応じて自由に過ごすことができます。さらに、敷地内にベルピアノ病院とベルアルプが併設されており、医療・介護サービスを必要とする場合には、迅速に対応することが可能です。


地域連携・在宅療養支援センター

 

地域連携・在宅療養支援センターは、訪問および通所の診療・看護・介護・リハビリなどをコーディネートする機能を1か所に集約しており、医療・介護・生活サービスを切れ目なく提供するための要ともいえる場所です。総合相談窓口が設置されており、MSW(医療ソーシャルワーカー)とケアマネジャー(介護支援専門員)が対応します。

 

<コーディネート内容>

  • 訪問診療
  • 訪問リハビリ
  • 訪問看護
  • 訪問介護
  • ショートステイ
  • 通所リハビリ
  • 通所介護
  • 訪問栄養指導
  • 訪問服薬指導
  • ケアプラン作成

など

 

地域連携・在宅療養支援にかかわる職員が1か所に集まることで、互いに顔の見える関係を保つことができるため細かいニュアンスが伝わりやすく、さらに、情報共有や相談への対応検討などをスムーズに進めることができます。

 

 

 

訪問診療や訪問リハビリ、訪問栄養指導、訪問薬剤指導などは、ベルピアノ病院のスタッフが対応を行っています。また、訪問ケアを行っている患者さんの病気の状態が悪化した際には、ベルピアノ病院(もちろん他病院でも可能)への入院を受け入れることが可能です。

このように、地域連携・在宅療養支援センターが適切に機能することで、基本的には自宅で過ごし、必要に応じて病院で医療的管理を行う「ときどき入院、ほぼ在宅」という形を実現できると考えています。


2019年より、ベトナム人介護技能実習生の受け入れを開始

日本では、少子高齢化の進展による介護人材不足が社会的な課題として認識されています。このような状況を受け、私たちは、2019年よりベトナムから介護技能実習生を受け入れています。

ベルアルプで働くベトナム人介護技能実習生の方々(中4名)

 

介護の仕事は対人業務であるため、一定の介護技術の習得および日本語能力試験レベルN3(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる段階)を取得してからの受け入れが望ましいという考えに基づき、ベトナムで『介護スキルラボ』を立ち上げ、介護人材の育成に取り組んできました。2019年には第1期生が日本へ入国しました。そのうちの一部の方が6月よりベルアルプに配属され、日々一生懸命に、介護業務や日本語能力向上に取り組んでいます。

 

*介護スキルラボ・・・社会医療法人 愛仁会、社会医療法人 ペガサス、社会医療法人 生長会で構成する組織「大阪A・P・Sコンソーシアム」による日本式介護の教育機関

次の記事では、院長 戸田爲久先生に、これまでのあゆみや院長としての思いを伺います。

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