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美原記念病院における入退院支援の取り組み—退院後の患者さんの生活を考慮した早期からの介入

美原記念病院 院長 美原盤先生

群馬県の南部、伊勢崎市にある美原記念病院は、1963年の設立以来、脳・神経疾患の患者さんを中心として、急性期からリハビリテーション、在宅復帰まで、一貫した医療・介護を提供するケアミックス型病院です。同院では、入院時に看護師が中心となり、全ての患者さんを対象にスクリーニングを行い、退院後の生活を考慮した入退院支援を実施しています。地域医療連携室で入退院支援を行う大崎充子さんに、その取り組みの内容についてお話を伺いました。


美原記念病院における入退院支援の取り組み

全ての入院患者さんにスクリーニングを行い、入院前の状況を細かく把握する

当院では、全ての入院患者さんに対して、入院時に看護師がスクリーニングを行います。入院時のスクリーニングでは、チェックシートを用いて、退院困難要因の有無、入院前の経過やADL(日常生活動作)の状態、利用しているサービス、支援者を確認します。

 

入退院支援の実績―施設基準の観点から

当院における入退院支援の実績(2018年4月〜11月データ)を、以下に示します。

 

入院時のスクリーニングを実施したことで、一般病棟における入退院支援加算の算定件数は高い水準を維持しています(地域包括ケアに転床した患者さんも算定件数に含まれるため、一部の月は退院者数よりも算定件数が多いことがあります)。このことから、退院する方のうち、退院支援を必要とするケースが多いことが分かります。

介護支援連携指導料とは、患者さんの退院後の介護サービスなどを見越した取り組みを評価するものです。当院では、退院者数(一般)の半数ほどが算定されています。

 

【相談員の面接で確認する項目】

・家族背景(家族構成、ご家族から受けられるサポート、患者さん以外の要介護者の有無)

・経済面(生計の中心となっている方、収入状況)

・環境面(家屋環境、家屋周辺の環境)

・生活歴(入院前の生活の状況)

・社会資源(福祉制度、利用サービス)

・意向(ご本人とご家族の意向)

 

 

このように入院前の状況を細かく把握しておくことで、相談員が入退院支援に介入後、迅速に対応することができます。さらに、患者さんやご家族の社会的背景に応じた個別性の高い退院支援と、適切な社会保障制度の活用支援が実現できると考えています。


スムーズな入退院支援で、退院後の患者さんとご家族の生活を守りたい

当院は、脳・神経疾患を専門として、脳卒中や神経難病などの患者さんの治療と入退院支援に数多く携わっています。脳卒中のなかでも発生頻度の高い脳梗塞は、治療後に後遺症が残るケースが多くあります。また、神経難病の場合には、原因が不明で根本的な治療法がないため、徐々に症状が進行し、介護・看護の必要性が高くなるという特徴があります。

このような脳・神経疾患の患者さんに対応する病院だからこそ、当院には、退院後の生活をふまえた支援が強く求められるのです。私たちはこれからも多職種で協働し、スムーズな入退院支援を行うことで、患者さん、ご家族のQOL維持・向上に努めます。

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