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ACPに沿った誤嚥性肺炎の薬物治療

東京大学医学部附属病院 老年病科科長 秋下雅弘先生

関連記事でお話ししたように、誤嚥性肺炎は高齢者に多くみられる病気です。高齢化が進む日本において、患者さんの「エンド・オブ・ライフ(人生の最終段階)」に医療がどのようにかかわるべきか、という課題は大きな注目を集めています。


ACPに沿った誤嚥性肺炎の治療

  • 誤嚥性肺炎の治療にはACPの概念が重要である

ACPの概念は、高齢社会において「患者さんのエンド・オブ・ライフ(人生の最終段階)に、家族や医療・ケア関係者がどのように寄り添うか」という課題に直結します。

現在(2018年時点)、がん、心不全、認知症などに関しては、すでにACPに沿った診療ガイドラインが作成されています。誤嚥性肺炎は高齢者に多くみられる病気であることから、これらの病気と同じように、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)が重要であるといえます。

*ACPとは?

将来起こりうる病状の変化に備えて、医療従事者が患者と家族とともに、患者の医療上の希望、生命維持治療に対する意向、医療に関する代理意思決定者の選定などを行うプロセスをさします。

引用元:http://www.hosp.tsukuba.ac.jp/team_iryo/e-team/hel_program/multi11/

 

  • ACPに沿って薬物治療を慎重に検討する

誤嚥性肺炎の薬物治療では、こちらの記事でお話ししたように、基本的にはエンピリックセラピーを行います。しかしながら、誤嚥性肺炎の治療では起因菌がわからないケースも多いです。なぜなら、嚥下機能が低下している方は、そもそも痰を出せず、起因菌の判別に必要な痰の検査が実施できないことがあるからです。

そのような場合、広域スペクトラムの抗菌薬を使い続ければ、耐性菌拡大のリスクを高めます。また、患者さんが施設などに戻ったとき、保有している耐性菌が周囲に広がる可能性があります。感染制御の視点からも、ACPに沿った治療を行い、耐性菌の拡大を抑制することが重要です。

よって、誤嚥性肺炎を繰り返している、あるいは認知機能の低下やADL(日常生活動作)の低下がみられる方(=誤嚥性肺炎のハイリスク群)、かつ起因菌がわからない場合には、ACPに沿って薬物治療を慎重に検討します。

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