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田島文博先生が語るリハビリテーション医学の魅力・これからの課題

和歌山県立医科大学 田島文博先生

和歌山県立医科大学の田島文博先生は、徹底的な高負荷運動療法である「攻めのリハビリテーション治療」を実践しながら、リハビリテーション医学の発展にも努めています。田島先生は、どのような思いを持ってリハビリテーション医療に取り組まれているのでしょうか。今の思いやこれからの課題について、お話を伺いました。


リハビリテーション医学/治療/医療−その言葉に込められた思い

  • プライドと責任感を持つリハビリテーション医療関連専門職を応援したい

私たちは、リハビリテーション医学、リハビリテーション治療、リハビリテーション医療という言葉を使いわけています。その背景には、プライドと責任を持ってリハビリテーション医療関連職種に携わる人々を応援したいという目的があります。

 

「リハビリテーション医学」は、学問として発展させたいという意志の表れです。リハビリテーション医療では、実際に効果があってもエビデンスが不足しているために実用化に至っていないものも多く、今後さらに「リハビリテーション医学」として、論文発表やデータ解析を進めていく必要があると考えています。2005年から、和歌山県立医科大学では大学院修士課程を開講し、医療従事者を対象に社会人大学院生にも門戸を開放しています。私どものリハビリテーション医学講座でも、すでに40名以上の修士を輩出しています。

 

「リハビリテーション治療」は、理学療法士や作業療法士をはじめとするリハビリテーション医療関連職種が誇りを持って働けるように支援したいという思いが込められています。科学的に検証可能な、プロフェッショナルの「リハビリテーション治療」を実践しています。

 

そして「リハビリテーション医療」は、これらをまとめる全体的な概念です。


田島文博先生はなぜリハビリを始めたのか?

  • 中村裕先生の医学的リハビリテーションという世界に魅了された

中村裕(なかむら ゆたか)という人物をご存知でしょうか。整形外科医であり、日本パラリンピックの父とも呼ばれる彼は、障害を持つ方々が働きながら生活を営む「太陽の家」という自立支援施設を創設した人物です。

 

私は学生の頃に太陽の家を訪れ、障害のある方々が就労している姿をみて感動し、中村先生が歩んだ「医学的リハビリテーション」という世界に大いに魅了されました。彼は、「保護より機会を」、「世に身心障害者はあっても、仕事に障害はあり得ない」という理念のもと、障害のある方々が仕事を持ち、社会参加して、自立することの重要性を訴え続けました。


田島文博先生が考えるリハビリテーション医学の魅力とは?

●なんといっても、患者さんが回復すること


リハビリの魅力は、なんといっても「患者さんが回復すること」です。

この分野で働いていると、適切にリハビリテーション治療を行うことで、ひとりで立てなかった患者さんが歩けるようになったり、言葉を話せなかった患者さんが笑顔でお話しできるようになったり、そんな場面に幾度となく出くわします。そのようなときには、この仕事の素晴らしさを感じざるをえません。


リハビリに関する課題・これからの展望

  • 活動性を育むリハビリが重要である

多くの人は、命にかかわる病気や怪我をしたとしても、その危機を乗り切れば、元気に過ごすことを望み、さらに自宅に戻ることを切望します。今のリハビリテーション医療は、そのような患者さんの切なる要望に応えるための最後の砦と言えます。

リハビリテーション治療を行うことで、患者さんが自宅で元気に過ごせるようになる。そのような世界を実現するために「活動性を育むリハビリテーション医学」が必要なのです。

*「活動性を育むリハビリテーション医学」については、記事1をご覧ください。


  • リハビリテーションを医学として発展させたい

世の中のリハビリテーション療法は、玉石混交です。その一因として、先述したような、リハビリテーションに関する医学的な発展の遅滞があると考えています。このような状況を打開するために、実際に効果があるリハビリテーションについては研究を進め、エビデンスを揃えることで、医学としてのリハビリテーションを発展させていく必要があるのです。

 

医学は、患者さんに尽くさねばならない。特別なことはいりません。愚直に、真摯に、目の前の患者さんをよくする。これが我々の使命です。

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