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共生型施設「G-Hills」の取り組み−地域共生社会の実現に向けて

芳珠記念病院 理事長 仲井培雄先生

人口減少、少子高齢化が進展する日本において、医療のあり方は、治すことが中心の「従来型医療」から、治し支える「生活支援型医療」へと転換しています。そのようななか、ほうじゅグループは2018年4月に地域共生型施設「G-Hills(ジーヒルズ)」を開設しました。子ども、高齢者、障害を持つ方を含めて、多様な背景を持つ地域の方々が集まり、支え支えられる場所を目指して、さまざまな活動に取り組んでいます。

ほうじゅグループ理事長の仲井培雄先生に、G-Hillsの取り組みや開設までの道のりについてお話を伺いました。


共生型施設「G-Hills」とは?−その活動内容

  • 世代を超えて地域のさまざまな方が集まり、支え合う場所

G-Hillsとは、高齢者、障害を持つ方、子どもを含めて、さまざまな背景を持つ方々が世代を超えて支え合い、学び合うことを目指す共生型福祉施設です。2018年4月、芳珠記念病院と一本道を挟んだ土地に開設しました。

G-Hillsでは、現在、8つの事業を展開しています(2019年4月時点)。

 

  1. キッズベースみどりがおか(企業主導型保育・病児保育)
  2. ヒルズクラブ(放課後児童クラブ)
  3. ネクストステップ(児童発達支援・放課後等デイサービス)
  4. デイサービス零(通所介護)
  5. 能美市辰口あんしん相談センター(地域包括支援センター)
  6. ビジットケアひすい(訪問介護/介護予防・日常生活支援)
  7. ひるずきっちん緑が丘(配食サービス)
  8. ちゃうすカフェ(地域カフェ)

*G-Hillsについての詳細はこちらをご覧ください。

 

 

  • Generations(世代)、Gather(集まる)、Green(緑)の意味を込めた「G-Hills」

G-Hillsでは、障害を持つ方や高齢の方を含め、子どもから大人まで幅広い世代の方に向けて多様なサービスを提供しています。G-Hillsという名称には、Generations(世代)、Gather(集まる)、Green(緑)という、3つの「G」の意味が込められています。地域の方が世代を超えて集まりに囲まれたこの丘から未来に向かってみんなで歩き出せる、そのような環境をつくりたいと思い、G-Hillsを運営しています。

 

G-Hillsにて開催したイベントで子どもと高齢者が流しそうめんを楽しむ様子


共生型施設「G-Hills」開設に至るまでの経緯と仲井先生の思い

  • 医療・介護だけでなく、福祉や子育てを含めた「共生型社会」の必要を実感

能美市の一部がまだ辰口町だった2001年頃、福祉・介護・医療WG(ワーキンググループ)に参画しました。そこで栗山よしみ氏(現・能美市ボランティア協議会 会長)に出会い、障害を持つ方々との交流を始めました。一連の活動を通じて、障害児・者と触れ合うことの楽しさと難しさを知り、医療や介護だけでなく、福祉や子育てを含めて地域をつなぐ「共生型社会」の実現の必要性を強く感じました。

 

  • 「あしたねの森」で求めていた共生型施設に出会った

2015年、かねてから交流のあった室谷ゆかり先生が開設した「あしたねの森」を訪問しました。富山県富山市にある「あしたねの森」では、高齢者施設と児童施設が同じ敷地内に併設され、多世代交流が日常的に行われていました。利用者同士が、また、利用者と職員が、ともに支え、支えられる存在になっていました。元気いっぱいに飛び回る子どもたち、笑顔が絶えない高齢者や障害児の姿を見て、「私たちが求めていたものはこれだ」と直感しました。

 

  • 地域の方々と協力し合い、「G-Hills」の開設に至る

「あしたねの森」で理想の共生型施設に出会ってからすぐに、地域共生社会の実現を目指し、共生型施設の存在価値や地域で必要とされる機能、運営方法などを、地域の関係団体と協議する場を設けました。そこからおよそ2年間、地域の方々にご尽力いただき、2018年、無事にG-Hillsの開設に至りました。


共生型施設「G-Hills」のこれから−開設1周年を迎えて

  • 「いかに共生するか」に焦点を当て、G-Hillsのさらなる発展を目指していきたい

2018年4月にG-Hillsを開設してから、1年が経ちました。少しずつ「共生型施設」というコンセプトが地域に浸透してきたおかげで、今では多くの方々に利用していただいています。最近では、施設のイベントとして庭の手入れを行ったり、カフェで地域開放型のイベントを開催したりして、G-Hillsを利用する方々が、自然と助け合い、楽しめるような仕組みづくりに注力しています。

 

これまでの1年間は、まずは各施設が事業を軌道に乗せることを念頭に置いて奔走してきました。そのミッションは、徐々に達成されつつあると感じています。そして、2019年からは、「いかに共生するか」というテーマに焦点を当てて、各施設の枠を超えたG-Hills全体としての取り組みに力を注ぐフェーズに入ったと感じています。

また、能美市は石川県のなかで、外国人比率がもっとも高い地域(2018年データ)であることから、今後は、「地域に住む外国の方々との共生」も新たに考えながら、G-Hillsのさらなる発展を目指していきたいと考えています。

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