病院運営 2019.05.20
インド福祉村協会の取り組み−クシナガラのインド福祉村病院における診療
さわらびグループ CEO 山本左近さん
愛知県豊橋市にて、1つのエリアに医療、福祉、介護の機能を備えた「福祉村」を運営する、さわらびグループ。同グループは、NPO法人インド福祉村協会を立ち上げ、1998年よりインドのクシナガラにて「インド福祉村病院(現地名:アーナンダ病院)」での診療活動を行っています。インド福祉村病院の取り組みについて、同グループCEOの山本左近さんにお話をお伺いしました。
インド福祉村協会の活動
- インド福祉村病院(現地名:アーナンダ病院)における診療活動
認定NPO法人インド福祉村協会では、インド北部のクシナガラという農村地区で「インド福祉村病院(現地名:アーナンダ病院)」を運営し、診療活動を行っています。
この活動は、1987年、父 山本孝之が、医学部時代の後輩である柴田昌雄先生から「インドの医療過疎地域で困っている人々がいる。病院を建てて医療支援をしたい」という相談を受けたことに端を発します。
当時、インドには医療過疎地域が多く存在していました。クシナガラはカースト制の名残が根強くあり、階級制度にも属さない最下層の「アウトカースト」と呼ばれる人々が多く暮らしていました。経済状況が悪く、電気や水道などのインフラ整備も行き届いていないような地域だったのです。
実際にインド福祉村病院を開設し診療をスタートするまでに、10年以上の時間がかかったそうです。まだ携帯電話もない時代に、現地の人々と交渉しながら計画を進めていくのは、それはたいへんなことだったでしょう。紆余曲折ありながら、最終的には、学校を建てようとしていた現地の方が土地を提供してくださったといいます。
インド福祉村病院での診療活動を続ける意義
- 「病院があるから安心できる」と移住してくる人々がいる
現在、インド福祉村病院は、外来患者さんを1日に80人ほど受け入れており、地域住民にとってなくてはならない存在になりました。
2015年に現地を訪れたときに驚いたのは、「病院があるから安心できる」という理由で人々がクシナガラへ移住し、いくつも新たな家が立ち始めていたことです。その変化を目の当たりにしたとき、人々が安心して暮らすためには医療の機能が必要だということを、改めて実感しました。
- 2、3世代にわたり利用してくれる家族がいる
さらに現地では、2世代、3世代にわたってインド福祉村病院を利用してくれている家族にも出会いました。これは、20年以上にわたりクシナガラで医療を提供し続けてきた時間の重みを感じさせてくれた出来事です。
日本は、どの地域でも一定水準以上の医療が受けられる非常に恵まれた環境です。しかし、世界にはまだまだ医療を十分に受けられない国や地域がある。私たちは、たくさんの方々の支援や理解のもと、インド福祉村病院での診療をこれからも継続していきます。ひいては、インドと日本の友好関係構築の一助となれることを願います。