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高齢の患者さんに対するフレイル対策—その重要性とは?

目白第二病院 副院長 水野英彰先生

世界に類をみないスピードで高齢化が進展する日本。目白第二病院 副院長の水野英彰先生は、「これからの高齢者医療においては、標準治療に加えてフレイル対策が急務」と話します。高齢者医療におけるよりよいアウトカムを目指して、腸内細菌や経腸栄養管理の方法などを研究されている水野先生に、フレイル対策に着目する背景についてお話を伺いました。


水野英彰先生が「経管栄養管理」に着目する背景

高齢の患者さんに対するフレイル対策—アウトカムの改善を目指して

わが国ではかつてないスピードで高齢化が進展しており、2065年には、高齢化率がおよそ40%に達すると見込まれています。一方で、平均寿命は男女共に延伸し続けています。このような流れのなかで、医療のあり方は常に変化を求められています。

 

私は、2006年より目白第二病院に勤め、外科医として患者さんを診療するなかで、思うようにアウトカムが出ない症例には、どのような要因があるのかを考察しました。そこで、患者さんが高齢の場合、フレイル(加齢に伴う予備能力低下により、ストレスに対する回復力が低下した状態)に対して適切な介入がないことにより、病気が重症化したり、アウトカムが出にくかったりするケースがあるのではないかと考えました。

 

フレイルは、転倒や骨折、術後合併症、要介護状態、認知症、施設入所、死亡といった事象の発生と関連性があるとされています。一般的にフレイルに陥っている高齢者の割合は1割ほどといわれ、さらに、慢性疾患で外来通院する高齢者や施設入所中の高齢者の場合には、さらにその割合が上がると考えられています。

 

これらのことから、私は、高齢の患者さんに対する治療のアウトカムを向上させるためには、フレイルに対して適切に介入することが急務であると考えました。フレイルへの対策を行うことは、健康寿命の延伸に寄与し、ひいては医療費削減につながると考えています。

 

フレイルに対する介入方法としては、適切な栄養管理、継続的な運動、慢性疾患のコントロールなどさまざまな可能性があります。これらのうち、私は、高齢の患者さんに対する栄養管理、特に、経口摂取が難しい場合に用いる「経腸栄養管理」に着目し、よりよいアウトカムを追求して実践を行っています。

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