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要介護者の自立支援を目指すケアデザイン人工知能『MAIA』−進む実証開発

株式会社CDI 代表取締役社長 岡本茂雄氏

介護を必要とされる方の自立支援を目指すケアデザイン人工知能『MAIA*』。開発者の岡本茂雄氏(株式会社CDI)は、介護の現場に革新をもたらすべく、膨大なデータを活用し、米シリコンバレーのActivity Recognition, Inc.(以下、AR社)と共同で介護×AIの実証開発を続けておられます。MAIAの活用方法やAIによるケアプランの必要性について、お話を伺いました。

*©Activity Recognition, Inc.


MAIAとは?

介護を必要とされる方の自立支援を目指す「ケアデザイン人工知能」

CDI Platform 『MAIA』は、ケアマネジャーと共に、介護を必要とされる方の自立支援を目指す「ケアデザイン人工知能」です。MAIAは介護現場の膨大な経験(データ)を学習し、そこから自立可能性を見出して、ケアプランを提案します。ケアプランの提案は、ケアプラン実施後の予測と共に行われ、また、人工知能は使えば使うほどに成長します。


MAIAでは、どんなことができるの?

MAIAにはさまざまな機能が搭載されています。クラウド型のサービスなので、アカウントを発行すれば、お持ちのパソコンやタブレット端末ですぐに利用できます。

 

ケアマネジャーが介護を必要とされる方の状態を入力する

ケアマネジャーは、被介護者のADL(日常生活動作)や心身の状態、IADL(手段的日常生活動作)などを入力します。

 

ケアプランの提示

MAIAは、過去の経験から、自立に向けた3つの推奨プランを提示します。ケアマネジャーはそれらをもとに、被介護者の個々の状況に応じてサービスを追加・削除したり、回数を変更したりします。

 

被介護者の容態の予測

MAIAが提示したプランや、被介護者の個々の状況に応じて修正を行ったプランを実施した場合に予測される状態の変化を、レーダーチャートや棒グラフなどでわかりやすく示します。従来のケアプランに不足していた「将来予測」をきちんと示すことで、自立に向けたケアの遂行を促します。

 

ケアプランの比較検討

MAIAが提示したプランや修正されたプランの容態予測をわかりやすく比較検討できます。それにより、さまざまな課題を容易に検討し、選択することができます。

 

ケアプランの提案におけるスムーズな合意形成

ケアプランの提案にあたり、複数のプランを比較検討するため、被介護者やご家族の理解が深まりやすく、また、プランの実施後にどのような容態になるのか予測されるため、スムーズな合意形成につながります。


2018年バージョンではさまざまな機能が追加された

2018年バージョンのMAIAには、以下のようなさまざまな機能が追加されています。

 

✔環境、介護力などアセスメント項目

✔長期目標/短期目標の管理・記録機能

✔口腔衛生、栄養アセスメント

✔プリント機能


AIによるケアプランの必要性とは

機能補填や家族介護負担の軽減に終始しがちな現状を打開し、自立に向けたケアを

従来の介護において、「現状の課題分析」は極めて重要なテーマでした。しかし、現状の問題を解決するための機能補填に終始してしまう傾向にあり、結果、「自立」に向けたケア・支援は困難でした。たとえば、トイレまで歩いて20分かかる方に対して、「援助」という方法で機能補填をすると、自立を目指すことは難しくなります。

 

もう1つの視点として、家族の介護負担を軽減することに重心を置くことで、デイサービスなどに被介護者を預けることが優先されたり、ご家族の要望に従う「御用聞きプラン」になりがちであったりして、その結果、被介護者の自立支援は難しくなります。

 

私は、このような現状をなんとか打開するために、AIによるケアプラン実現に向けて動いてきました。AIによるケアプランによって、自立促進による要介護度の改善や、過剰介護の減少による自立促進が目指せると考えています。


AIを活用したケアプランの作成−実証の結果とは?

「気付きの効果」は大きな実りに

実証開発の過程で、AIが「ショートステイの月1回利用」というプランを提示しました。通常のケアプランでは、そのようなショートステイの使い方はありえないので非常に驚きましたが、その提示に沿ってケアプランを実行してみました。

すると、その結果から、月1回のショートステイに備えて生活リズムを整える、社会参加の機会があるため自立支援効果が向上するといった効果が見出されたのです。このような「気付きの効果」は、大きな実りになります。

 

このときは「要介護度の改善」をよいプランと定義したことから、自立支援を進めるには感覚的にサービスが少ないこと(ご高齢者自身の能力をできる限り使おうとするため)、家族の介護負担についてはケアマネジャーによるカスタマイズが重要であることなども分かりました。

 

2017年度の実証開発における被介護者の変化−事例をもとに

2017年度の実証開発(2017年11月16日〜2018年1月31日)では、ある被介護者(要介護度4)に以下の変化があらわれました。

 

✔両足での立位保持:「支えが必要」から「つかまれば可」に

✔歩行:「できない」から「つかまれば可」に

✔立ち上がり:「できない」から「つかまれば可」に

✔排尿:「全介助」から「一部介助」に

✔排便:「全介助」から「一部介助」に

 

これにより、在宅介護の負担が大幅に軽減されました。このように、実証開発では、要介護度の改善によって自立を目指すケアプランの効果が徐々に示されています。今後も継続して事例を蓄積し、将来的には、より微細な変化を捉えたケアプランの構築を目指したいと考えています。

 

MAIAは、ケアマネジャーにとって優秀なアシスタントのような存在になる

MAIAは、被介護者のADLを改善させ自立を目指すことはお伝えしたとおりですが、一方、QOLの改善については、ケアマネジャーの裁量が大きい領域です。

ケアマネジャーは、人間が持ちうるコミュニケーション能力と言語形成能力を活かして、被介護者の心にはたらきかけ、「行動変容」を起こさせるという大切な役割があります。MAIAの活用によって目指すのは、ADLとQOLのベストマッチングなのです。

 

このような視点から考えれば、ケアマネジャーの仕事がなくなることはありえないのです。そして、MAIAはケアマネジャーにとって優秀なアシスタントのような存在になると信じています。

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