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美原記念病院における排尿ケアの取り組み—急性期と回復期における排尿ケアの違いに関する調査結果

美原記念病院 院長 美原盤先生

群馬県の南部、伊勢崎市にある美原記念病院は、1963年の設立以来、脳・神経疾患の患者さんを中心として、急性期からリハビリテーション、在宅復帰まで、一貫した医療・介護を提供するケアミックス型病院です。脳・神経疾患は、患者さんのQOL低下につながる下部尿路症状(LUTS:下部尿路機能障害による排尿障害からの「排尿症状」と、蓄尿障害からの「蓄尿症状」を併せたもの)を呈することも多いことから、同院では病院全体で排尿ケアに取り組んでいます。看護部の町田恵理子さんに、その取り組みの内容についてお話を伺いました。


美原記念病院における排尿ケアの取り組み

排尿障害を有する患者さんに対する排尿ケアチームの介入

当院では、2016年に排尿ケアチームを設置し、排尿障害を有する患者さんに対する介入を行っています。まず、病棟看護師が尿道カテーテルを留置している患者さんをリストアップします。次に、既往歴や現病歴を確認し、排尿回診が必要だと判断した患者さんに対して、排尿ケアチームの介入を始めます。

排尿ケアチームは、医師、看護師、理学療法士で構成されており、週1回、排尿ケア回診を行います。排尿ケア回診では、医師は、薬剤の評価と調整、尿道カテーテルの再挿入や泌尿器科受診の判断などを行います。看護師は、排尿日誌の評価やスタッフへの指導、病棟看護師と連携しながら排尿ケアの計画・実践を進めます。そして、理学療法士は、身体能力の評価と排尿動作訓練などを実施します。


急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟における排尿ケアの違いを調査

私たちは、美原記念病院の急性期病棟と回復期リハビリテーション病棟における排尿ケアチームの介入の違いについて調査を行いました。ここにその結果を示します。

 

・期間:2016年7月~2017年2月

・対象:調査期間中に排尿ケアチームが介入した患者さん

・調査内容:

1)介入件数と対象者の内訳

2)尿道カテーテル留置期間と排尿ケア介入期間

3)排尿ケアチームの介入内容

 

 

▼結果1:介入件数と対象者の内訳

調査期間中の排尿ケアチームの介入件数は、急性期病棟で12件、回復期リハビリテーション病棟で26件でした。対象者の年齢と性別について、大きな差は認められませんでした。対象者の基礎疾患は、両病棟とも、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血(SAH)などの脳疾患が半数を占めています。

 

 

▼結果2:尿道カテーテル留置期間と排尿ケア介入期間

尿道カテーテルの留置期間は、急性期病棟の11.5日に対して、回復期リハビリテーション病棟では17.5日と、回復期リハビリテーション病棟のほうが長いことが分かります。排尿ケアチームの介入期間については、急性期病棟2日に対し、回復期リハビリテーション病棟は8日で、回復期リハビリテーション病棟では、より長い期間、排尿ケアチームが介入していることが分かりました。

また、対象者のうち、下部尿路症状(LUTS:下部尿路機能障害による排尿障害からの「排尿症状」と、蓄尿障害からの「蓄尿症状」を併せたもの)を有する方は、急性期病棟で5名、回復期リハビリテーション病棟では26名でした。

 

 

▼結果3:排尿ケアチームの介入内容

排尿ケアチームの介入内容としては、急性期病棟ではトイレ誘導が中心でした。一方、回復期リハビリテーション病棟では、トイレ誘導に加え、薬物療法や間欠導尿、泌尿器科受診の判断など、さまざまな形で介入していることが分かります。

 

 

▼まとめ

以上、結果1〜3から、下部尿路症状を有する患者さんは急性期病棟、回復期リハビリテーション病棟のどちらにも存在し、排尿ケアが必要であることが分かりました。さらに、回復期リハビリテーション病棟では、急性期病棟よりも尿道カテーテルの留置期間と排尿ケアチームの介入期間が長く、ケアの内容も多岐にわたることが分かりました。

このような調査結果を活かして、私たちは、急性期のみならず全病棟で排尿ケアに取り組み、排尿障害はもちろん、頻尿や閉尿といった症状でお困りの患者さんをしっかりとサポートしています。

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