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業務改善の結果が、よりよいケアにつながる――光風園病院看護部長の思い

光風園病院 看護部長 梅崎亜希子さん

山口県下関市にある光風園病院は、「自分が受けて満足できる高度なサービスを提供すること」を理念として掲げ、急性期の治療を終えた患者さんや、回復期や慢性期の患者さんなどに、医療とケアを提供する病院です。同院の看護部長を務める梅崎亜希子さんは、主に人員の配置や管理業務を担い、院内のさまざまな業務改善に取り組んでいます。梅崎さんに、同院の看護部門の特色や取り組み、看護部長としての思いを伺いました。


Q梅崎亜希子さんの現在の業務を教えてください

私は、2013年に光風園病院の看護部長に就任しました。そして、2018年4月には法人本部の看護部長にも就任し、今は法人全体の看護・介護職員の働く環境を整えることが私の仕事です。

当法人は光風園病院と介護医療院“もみじ”、介護老人保健施設“さくら寮”そして訪問看護ステーションと4つの施設があります。

各施設の責任者とは常に顔を合わせ、いつでも報告や連絡、相談ができ、助け合いながら人員の調整、職員教育、医療機器や備品の管理などを行っています。

 

病院と施設の人員配置や労働環境を平等かつ公平に整えていくことを考えていくことはとても大変ですが、大きなやりがいにつながっています。


Q光風園病院 看護部の特色を教えてください

基本的な方針をまとめ、各病棟科長の間で情報を共有する体制

当院には、西1病棟(特殊疾患病棟)、西2病棟(医療療養病棟)、回復期病棟(回復期リハビリテーション病棟)、東1病棟(地域包括ケア病棟)、東2病棟(医療療養病棟)の5つの病棟があり、病棟科長は回復期リハ病棟と東1病棟に各2名配置し、5病棟に7名の病棟科長が配属されています(2019年5月時点)。

当院看護部の特色は、各病棟の問題や課題を病棟科長全員が把握し、解決に向けて皆で取り組むということです。必ず議論し考え方や方向性を確認して、患者さんがどの病棟に入院しても、質の高い看護・ケアを提供できるよう、病棟間の協力体制をしっかりと構築しています。

病棟内で何か問題が起こったときや、病棟内で解決方法が見つからないときなどは、ほかの病棟科長がアドバイスをしたり、全員で意見を出して解決策を考えたりして、看護部の問題として皆が知恵を出し合って改善につなげます。各病棟の成功事例を共有する機会も多く、「私たちは、こういう風にしたら上手くいったよ」「それなら、うちでもやってみよう」といった会話が普段から聞こえてきます。

このような考え方や体制は、私の前任の看護部長が、情報共有を徹底する体制の土台を作り上げ、今でもその体制は変わらずにいます。

 

目的を明確にし、同じ方向を向いて働ける職場

もう1つの特色は、各病棟で勝手なルールは作らないということです。看護部では看護・ケアの手順やルールを統一しています。その手順やルールを各病棟で変えてしまうと、同じ病院で働いているにもかかわらず、異動するたびに「前の病棟の手順の方がいい」「病棟科長によって言うことが違う」などスタッフに迷いが生じてしまう可能性もあります。

もちろん、病棟ごとに、患者さんの状態などに違いはあります。たとえば、スピード感が求められる回復期リハ病棟や地域包括ケア病棟と、患者さんにじっくり向き合う維持期とでは、必要な対応が異なります。そのため、各病棟の特性や役割を理解し、”同じにならない”ルールや手順は、その目的や理由を共有することが必要です。一人ひとりの目的が明確で、同じ方向を向いて働ける職場であることは、当院の特色のひとつです。

 


Qこれまで、看護部長として取り組んできたことは何でしょうか?

 

勤務時間を見直し、二交代制を導入

当院の看護・介護職員は20代から60代まで幅広い年齢層のスタッフが在籍し、育児などで夜勤に入れないスタッフも増えています。

夜勤者の確保、増員が難しいという課題もあり、夜勤の労働環境を見直すことが必要であると考えました。二交代制と三交代制のメリットを比較して、勤務と勤務のインターバルをしっかり空けられる二交代制を導入することを決めました。

夜勤時に休憩がうまくとれないというスタッフの意見を反映し、2時間の休憩時間を確保することは絶対条件としました。すると、二交代制を導入する前のアンケートではネガティブな意見がみられたものの、休憩時間が確保されるなら構わないと、前向きに考えてくれるスタッフが増えていきました。その後、2つの病棟で二交代制を導入し、経営とのバランスなどを踏まえて詳細を詰めていきました。2019年4月には、全ての病棟で二交代制の導入が完了しました。

 

二交代制を開始して1か月、やはり夜勤に入るのは難しいというスタッフには、準夜勤を残すなど工夫して対応しています。また、勤務開始時間を9時から8時半へと早めることで、朝食介助、口腔ケアに関わるスタッフの人員を確保し、午前中の業務を充実させ、夜勤明けのスタッフはできるだけ早く帰宅できるように調整しました。また、日勤者の退社時間も早まったことで、夕食介助や食後の更衣やトイレ誘導などに関わるスタッフは遅番担当者を配置して、対応しています。単純に勤務時間を変更するのではなく、現場のさらなる業務改善につなげることを目指しました。

 

各スタッフが自発的に動ける教育体制づくり

当院では、下関看護専門学校で学びながら働くスタッフを毎年数名受け入れています。

これまで当院の看護師の採用は、経験のある看護師または准看護師の中途採用者が多く、当院の新卒者は、准看護師の資格を取得した学生の数名がそのまま在籍し、准看護師として改めて採用するということが続いています。

新卒者の教育プログラムはあるものの、継続的に教育を受ける体制は整っていませんでした。

とくに准看護師免許を取得した高等課程の生徒は定時制の専門課程に進学し、当院で准看護師として働きながら3年間を過ごします。卒業すると急性期病院に移りたいと退職するスタッフもいましたが、最近では卒業後もそのまま当院に在籍したいと言うスタッフが増えたことをきっかけに、今までの教育体制を見直し看護職を3年間かけて教育する体制に力を入れています。1年目から3年目まで1年ごと行われる実技チェックを経て必要な技術を確保し、フィジカルアセスメントやリーダーシップについてなどの研修や現場で問題になっていることをグループワークで討議するなど研修内容の充実を図りました。個人で勉強する力も身につくようになりました。グループワークで討議する経験も積んでいるため、カンファレンスで積極的に発言できるようになったと感じます。

この研修は看護主任が中心となって行ってくれています。はじめは、研修内容の企画、資料づくりなど業務量も増えて苦労したと思います。3年間の教育プログラムが確立し、その研修を受けたスタッフが現場で活躍する姿をみると、教えたことが結果として現れていると実感できます。また、教育に携わった看護主任たちの学びの機会にもなったことに、ひとつの手ごたえを感じています。


Q看護部長としての喜び、やりがいを教えてください

業務改善の結果、スタッフも患者さんも喜んでくれること

看護部長として、業務改善のために今何ができるのか、どうすれば効率よく達成できるのか、逆に本当はやらなくてもよいことがあるのではないか、といったことを日々考えています。具体的な対応策や解決方法が見つかるまでには時間がかかりますが、私が提案したことに対して、病棟科長の賛同を得て、一緒に取り組んでいけることに、やりがいを感じます。

新しいことを始めるときは、スタッフに不安や心配を感じさせてしまうかもしれません。現場を動かす病棟科長から、「業務内容を変更すると、このようなトラブルが起こるのではないですか」「スタッフたちも不安に思っているみたいです」と言われることもあります。私は、業務改善後の様子を少しでもイメージしやすくなるように、改善案をプレゼンし、業務上の負担がどれだけ減るのかを話して、業務改善を前向きに考えてもらえるよう努めています。

業務改善の結果、「有給休暇を取得しやすくなった」などと喜んでもらえると、私も嬉しく思います。また、「患者さんの部屋を訪室する時間がとれるようになった」など患者さんに関わる時間が増えたというスタッフの声を聞くと、業務改善の結果が職員の労働環境の改善だけでなく、患者さんにも還元されていることが実感でき、大きな喜びを感じています。

 

「新たな課題を1つずつこなしていきたい」――梅崎亜希子さんの思い

法人本部の看護部長に就任して1年が過ぎました(2019年5月時点)。やりがいと大変さは表裏一体ですが、今は、大変なことをやり遂げる喜びを実感しています。今年実行した大きな業務改善に対して、問題がないかどうか、これからゆっくりと見直していくつもりです。今のところ大きなトラブルはありませんが、問題が出てきたときには、どうすれば改善できるのかを少しずつ考えていきたいと思います。新しいスタッフもどんどん入ってくるなかで、細かな課題はたくさんあります。当院の看護部長として責務を果たし、引き続き、1つずつ課題をこなしていきたいと思います。

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