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富家病院における慢性期医療の実践−「いかに治せるか」を追求する

富家病院 理事長 富家隆樹先生

富家病院は「高度先進慢性期医療」を目指し、重度の患者さんを積極的に受け入れています。「私たちは、いかに治せるかを突き詰めなければならない」と語る理事長の富家隆樹先生に、同院における慢性期医療の実践についてお話を伺いました。


富家病院における慢性期医療の実践

認知症ケア−ものわすれ外来/認知症サポートチームによる評価

当院は、ものわすれ外来に力を入れており、認知症サポート医が診察を担当します。患者さんのサポートはもちろんのこと、介護者の負担軽減や対応方法の相談をはじめとして、ご家族のサポートも積極的に行います。

 

外来で認知症のケアを行う場合、問診だけでは生活状況を正確に把握することが難しいため、まずは認知症専門の訪問看護として自宅を訪れ、生活状況の把握や服薬管理などを行います。

 

入院される場合には、臨床心理士が中心となって構成された「認知症サポートチーム」が認知症の評価を行い、問題行動やせん妄状態を回避するためのケアを行います。


先端の慢性期医療機器を導入

私たちは、先端の慢性期医療機器を積極的に導入しています。

 

自動喀痰吸引器

先端医療機器の最たるものは24時間一定の低量で持続的に吸引を行う「自動喀痰吸引器」で、現在150台が稼働しています。これによって、導入前に平均17回/日だった気管カニューレの吸引回数は導入後に2.9回/日となり、大幅に減少しました。

さらに、吸引時における患者さんの苦痛緩和や、看護師の労務軽減などにも役立っています。また、この自動喀痰吸引器は、吸引時以外は圧力が低下するため呼吸機能への影響が少なく、人工呼吸器を装着している患者さんにも使いやすいというメリットがあります。


 

睡眠測定見守りシステム

当院は、マット式の睡眠測定見守りシステムを導入しています。これは、マットレスの下に設置したセンサーによって、体動(寝返り、呼吸、心拍など)を測定し、睡眠状態を把握する装置です。

データを取得することで、スタッフの不在中や睡眠中に患者さんがどのような体動をしているかを把握し、ケアプランや生活習慣の改善につなげることが可能です。

 

 

陽・陰圧体外式人工呼吸器

キュイラス(胸当て)で呼吸補助を行う、陽・陰圧体外式人工呼吸器を導入しています。メリットは、挿管が不要であるため侵襲性が低く、会話が可能であるというメリットがあるという点です。無気肺改善、肺胞拡張、肺炎の予防、高炭酸ガス血症の改善が期待でき、当院では、呼吸器リハビリと併用しています。

 

 

頭・脚・傾きを連動させた起き上がりシステム搭載のベッド

2017年より、頭・脚・傾きを連動させた起き上がりシステムを搭載したベッドを導入しました。できるだけベッドから離れる機会を増やし、寝たきりや褥瘡を予防することが目的です。また、腹部の圧迫軽減、呼吸の負担軽減、逆流や嘔吐の予防が期待できます。


サチュレーションマルチモニター

全病棟に、SpO2(動脈血酸素飽和度:体内のヘモグロビンと結合した酸素の割合)を24時間リアルタイムで表示する、サチュレーションマルチモニターを導入しています。SpO2の測定値はナースステーションに送信され、継続的な呼吸管理に活用されます。


慢性期医療に対する思い・今後の展望

  • 「いかに治せるか」をとことん突き詰める必要がある

慢性期医療のなかで完治を求めることは難しいですが、「今より、よりよくすること」は急性期医療と比べて時間が味方してくれるぶん、私たちが目指していかなければならないことです。

社会的にも人口構造の変化と共に、慢性期医療のニーズが高まっている実感があります。そのぶん、慢性期医療に携わりたいという医療従事者が増えているのも事実だと思います。

 

そのようななかで、「人生の終末期は医療によるケアを最小限に抑え、安らかに看取る」という考え方については、納得しきれない部分があります。

慢性期医療は、まさに患者さんが亡くなる瞬間にまで、長くかかわる医療です。それなのに、患者さんが高齢であるというだけの理由で医療によるケアを減らすことは、医者として私が目指すところではありません。


いつの時代にも、「現代の医療技術ではこれ以上よくならない」と主張する人々は存在しましたが、一方で「新しい医療技術で、少しでもよくできるはずだ」と考え実行した人々によって、さまざまな新薬が開発されてきました。不治の病といわれていた結核も、治せると信じた人々がいたからこそ、治療が可能になったのです。

 

ですから慢性期医療に携わる私たちは、患者さんと長い時間かかわるなかで「いかに治せるか」をとことん突き詰める使命がある。そう考えています。

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