良質な慢性期医療が日本を強くする!慢性期.com

  • facebook
  • facebook

元気村グループの理念とその実現――家族主義・現場主義・感動介護

社会福祉法人 元気村グループ 理事長 神成裕介先生

一般的な介護職の離職率*は19%(常勤:2017年度)と高く、課題となっています。そのようななか、全国で多数の介護事業を展開する元気村グループは人材採用と育成に力を入れ、その結果、グループ内の離職率が10.4%(常勤:2020年度)と低くなっています。「スタッフに理念を伝え、浸透させる取り組みに尽力している」と話す理事長の神成 裕介(かんなり ゆうすけ)先生に、同グループの理念とそれを体現するための取り組みについて伺いました。

*離職率=1年間の離職者数÷労働者数


グループの3つの理念

元気村グループには、家族主義・現場主義・感動介護という3つの理念があります。私たちは、家族主義と現場主義をモットーに、地域から世界に広がる感動介護を実現し、全ての人が元気に笑顔で楽しく、共に生きる社会を実現したいと考えています。これらの理念はサンガグループの介護領域においても共通のものです。

 

家族主義

“家族主義”とは、仲間であるスタッフや利用者さんを単に仕事上の関係と捉えるのではなく、自分の家族と同じように考え、愛と誠実さを持って接するという理念です。

利用者さんに対してスタッフは介護のプロとして接しますが、“お給料をもらって介護サービスを提供する”という発想ではなく、それを超え、自分の家族に接するように介護してほしいと考えています。たとえば、自分の家族には「いつまでも長生きしてほしい」「できるだけ自分の足で自由に歩いてほしい」と願いますよね。それと同じように、スタッフ一人ひとりが利用者さんに対して「こうしてあげたい」と思うこと、その思いを醸成していくことこそ家族主義の原点なのです。

 

現場主義

2つ目の理念は “現場主義”です。介護事業にはさまざまな職種が関わりますが、要となるのは現場で利用者さんと接するスタッフです。私たちは、現場で働くスタッフが主体的・自発的に考え行動することを重視し、尊重しています。もちろんルールやマニュアルは必要ですからきちんと整備していますが、よりよい介護を提供するために必要な柔軟性と、現場ごとの最適化を大切にしています。

最近では、新型コロナワクチン接種の予約サポートの取り組みをスタッフが発案し、採用された例があります。デイサービスやショートステイを利用している高齢の方は、ご本人かご家族が予約を取るという一般的な流れをそのまま受け入れるのではなく、予約をうまく取れるようケアマネージャーや相談員と連携して対応しました。

 

写真:PIXTA

 

感動介護

家族主義と現場主義をモットーにして“感動介護”を実現するという目標があります。感動介護を叶えるために必要なものは、いわゆる三大介助(食事介助・入浴介助・排泄介助)のスキルだけではありません。介護とは、その方の人生をサポートすること。よりよい介護を実現するには、相手の気持ちに寄り添い、QOL(生活の質)やADL(日常生活動作)の維持・向上に努める必要があります。

たとえば、おむつ交換のスピードが速ければよい介護でしょうか。違いますよね。実際におむつをつけてみると分かりますが、おむつに排泄するという行為は本人にとって恥ずかしくて困難なことなのです。私も自宅で試してみましたが、できませんでした。そのことが分かると「おむつが不要な状態をまずつくってみよう」という発想になります。

ある施設では“おむつゼロ運動”に取り組んだ結果、おむつが不要になった方の食事・水分摂取量が増えるケースが多く見られました。つまり、「おむつに排泄したくない」という気持ちが食事・水分摂取量の減少につながっていた可能性が高いのです。本人のQOLとADLの向上につながったこの取り組みは、感動介護のよい例だと思います。

 

元気村グループで働く職員


理念を体現するための仕組み

元気村グループ全体で2,800人を超えるスタッフが働いていますから(2021年5月時点)、一人ひとりに理念をしっかりと伝え、浸透させることの重要性を強く感じています。当グループには理念や行動指針を詳しく記載したコンパスブックがあり、入職時や定期的な研修を通じて理念を体現する大切さを伝え続けています。

また、感動介護を体現したスタッフのエピソードを1施設につき1つ出してもらい、表彰する“感動介護賞”を年に1回実施しています。2020年にはオンラインで800名ほどのスタッフが集い、表彰式を行いました。

実際に大賞を獲得したエピソードを1つご紹介します。ある施設に女性が入所していました。その方の夫は、妻であるその女性に会うためによく施設にいらっしゃっていたのですが、あるときご自身も介護が必要な状態になり、違う施設に入られたのです。女性のお話の中で「夫に会いたい」という気持ちを聞き、スタッフはグループ外の施設と直接コンタクトを取り、お二人が会える機会をつくりました。ご夫婦やご家族、ほかの施設の方々が共に温かい時間を過ごし、介助スキルを超越した感動介護が生まれました。

このようなスタッフの自発的な取り組みをグループがきちんと表彰し盛り上げることで、理念を体現できる環境や雰囲気をつくりたいと考えています。

※お話の続きは、次の記事をご覧ください。

記事一覧へ戻る

あなたにおすすめの記事

詳しくはこちら!慢性期医療とは?
日本慢性期医療協会について
日本慢性期医療協会
日本介護医療院協会
メディカルノート×慢性期.com