良質な慢性期医療が日本を強くする!慢性期.com

  • facebook

人が求めるものは「安心」。ただその思いに応えたい−田中裕之先生の信念

医療法人 永寿会 陵北病院 院長 田中裕之先生

医療法人 永寿会 陵北病院の院長を務める田中裕之先生は、同院における医科・歯科連携による徹底的な口腔ケアや、八王子市の高齢者救急医療を推進する活動など、さまざまな取り組みを行っていらっしゃいます。「患者さんにとって必要な医療を提供し続けたい」と語る田中先生に、その思いやこれまでのあゆみを伺いました。


医師としてのポリシー

人が求めるのは「安心」。その思いに応えたい

私にとって医療とは、患者さんが求めるもの、必要なことを追及する行為そのものです。どんなに言葉を尽くしても、結局のところ、人はみな「安心」が欲しいのだと思います。患者さんが「安心」を欲するその思いにただひたすら応えることが、医療であり、医師の仕事です。

ですから、病院としての急性期、回復期、慢性期という制度上や機能上の分類は、患者さんの前では意味がありません。一人の患者さんにとって必要な医療、介護を追求すれば、その時点での役割は1つの方向に収束されていきます。そして究極的には医療・介護は医療従事者と患者さんの人間関係そのものだと考えています。

 

ここに、余命3か月といわれた末期のがん患者さんが、介護療養型の施設に入所されているとします。その患者さんが「外の空気を吸いたい」と希望されたときには、車椅子でその方を施設の庭に連れて行き、1時間ほど、黙って一緒に過ごす。そばに寄り添うことも、それは立派な「医療」だと私は考えています。回復、治癒に向かう患者さんへの医療の提供以上に、死に向かう患者さんへの援助は大切で価値があると考えているからです


田中裕之先生のあゆみ

  • 小児外科医、会社経営者、そして、陵北病院の医師へ

もともとは、小児外科医でした。いくつかの病院勤務を経て、2006年から陵北病院に勤めています。実は、陵北病院に勤める前に会社経営に関わり、それを通じて社会構造やお金の流れを学びました。この経験は、現在の病院経営にも非常に役立っています。

 

会社経営から離れようと考えていたとき、アルバイト先だった陵北病院の院長が「うちに来ないか」と言ってくれました。もともとは小児外科だったので、慢性期病院のことはあまり知らなかったのですが、せっかく携わるなら徹底的にやろうと思い、一から勉強しました。陵北病院の取り組みについても、一つ一つ見直しました。そのなかで、医科・歯科連携による徹底した口腔ケアの実践もスタートしたのです。

*陵北病院における口腔ケアについては、記事1をご覧ください。

 

  • 2011年に陵北病院の院長へ

2011年に、先代の院長の退任に伴い、院長に就任しました。1997年頃からアルバイトで勤務していたため、病院の歴史を知っていましたし、院内のスタッフとも長い付き合いだったので、比較的スムーズに院長業務へ移行できました。

 

経営者としてのポリシーは、まず職員に経営面での不安を与えないこと、そして患者さんによい医療を提供するための努力を惜しまないことです。私は、資材を購入するときの流れや業者の選定などを、しっかりと吟味します。適切な価格で資材を購入してコストを削減できれば、職員の給料に還元できますし、良質な資材を納入することで、結果的によりよい医療を患者さんに提供できると考えるからです。


現在、力を注いでいること

八王子における食のバリアフリー化を推進している

現在、八王子市で「食のバリアフリー化」の取り組みを推進しています。高齢化の進展によって、摂食・嚥下障害をもつ高齢者が増加しています。そのような高齢者の方が、病院や施設からほかの施設に移る際、それぞれの摂食・嚥下機能に合った食事を、切れ目なく食べ続けられることが大切です。しかし、嚥下調整食は、施設により形態や名称が異なり、さらに施設間での情報共有が不足している現状がありました。

 

このような問題を解決するために、2015年に「八王子嚥下調整食研究会」を発足させました。当研究会では、各施設が提供している主食とおかずの名称を、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「嚥下調整食学会分類2013」の各コードで示す試みを行っています。

 

 

2019年2月現在、当研究会には28の施設が参加しています。今後は、さらに参加施設を増やし、八王子市外の他施設とも連携をとりつつ、八王子市を「ずっと安心して食べ続けることができる町」にしていきたいと考えています。

記事一覧へ戻る

関連する記事

おすすめの記事