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リバビリテーション医療の魅力とは? 助かった命を「生活」へ戻すために

長崎リハビリテーション病院 院長 栗原正紀先生

脳神経外科医として救急の現場で活躍していた栗原正紀先生は、2001年にリハビリテーションの世界に転向しました。これまでの経緯や、リハビリテーション医療への思いを伺います。


リハビリテーションの役割とは?

  • 障害を改善し、生活を再構築する=自立支援

リハビリの基本は、自分のことを自分でできるように支援すること、つまり「自立支援」です。病気や怪我によって起きた障害を改善し、生活を再構築することができれば、地域生活を支えることができます。このように、リハビリは地域の人々の生活を支えるための手段として、非常に重要な要素であるといえます。


栗原先生は、なぜリハビリの世界に転向したのか?

  • もともとは脳神経外科医だった

私はもともと脳神経外科医として働いていました。ほんの一時期は、長崎市内で私の名前を知らない救急隊はいない、というくらい忙しく救急医療に携わっていたものです。

 

  • 「助けてもらわなければよかった」というご家族の言葉

これまでに、「助けてもらわなければよかった」といわれたことが3回あります。それらはすべて脳神経外科医として働いていた頃の話で、命だけは助かったけれど意識障害が強く残ってしまった患者さんのご家族からの言葉でした。

救急搬送されてきたときには「先生、命だけは助けて!」と懇願されたとしても、患者さんに強い意識障害が残った場合、家族は徐々に疲弊していき、ついには「助けてもらわなければよかった—」と弱々しくこぼすのです。

 

  • 助かった命を「生活できる」までに回復させるために

「助けてもらわなければよかった」という言葉を聞いたとき、「こんなふうに家族にいわれてしまう私たちの仕事は、一体何なのだろう—?」と思い、呆然としました。そして、何かやり残していることがあると確信しました。助かった命を何とかして「生きられる=生活できる」までに回復させたい。そのために、私は「救急医療におけるリハビリ」を学ぶことにしたのです。

当時はまだ救急医療におけるリハビリの視点というのはほとんど存在していなかったため、患者さんから多くのことを勉強させてもらいました。

 

  • 2001年からリハビリの世界へ

そして、2001年に完全にメスを置いてからはリハビリテーションの世界に没頭しました。かつて自分が人様の頭を開けて外科手術をしていたとは信じられないほど、今ではリハビリの仕事、そして地域医療を発展させることに熱中しています。


リバビリテーションの魅力とは? 若手医師へのメッセージ

 ●「生活を支える」という視点で、広い世界をみよう
医師という仕事は「専門職」ですから、どんな分野であろうと、若いうちは技術の研鑽に一生懸命になるのは当然のことかもしれません。ただ、忘れて欲しくないことは「何のために技術を磨くのか?」あるいは「どんな役割を担うためか?」という目的です。
これまでの記事を通して何度も申し上げましたが、医療の役割とは「人が安心して生活できるよう支える」ことではないでしょうか。
医療が発展していなかった頃は、人の命を救うこと、病気を治すことに精一杯でした。しかし、医療が進歩し人の寿命が伸びているなか、医療の事情は変化しています。命が助かる、あるいは病気を治すことは前提になり、その後「生きること=生活」にまで視野を広げる必要があるということです。究極の目的は「地域生活を支える」こと。それを意識できれば、医療者としてとても広い世界がみえてくるでしょう。

 

  • 高齢社会では「チームのリハビリ医療」が必須

世界でも類をみないほどの超高齢社会となった今、医師と看護師だけでリハビリ医療を完遂することはできません。リハビリ医療あらゆる専門職がかかわり、連携をとること、つまりチーム医療が必須であるといえます。

 

  • どんな分野に進んでも、リハビリ医療を意識してほしい

これからの医療は、地域とのかかわり合いが必ず必要になります。そこには、社会システムの構築という視点、公衆衛生の感覚があってしかるべきです。そのなかで、リハビリ医療は非常に重要な位置付けにあるといえるでしょう。よって、どんな分野の医師であろうと、リハビリ医療を意識し、理解しようする姿勢を持っていただきたいです。

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