良質な慢性期医療が日本を強くする!慢性期.com

  • facebook
  • facebook

「認知症にやさしいまち」をどのようにつくるのか? 100BLGの取り組み

DAYS BLG! 理事長 前田隆行様

“人生100年時代”となった日本。2025年には高齢の方の認知症有病率が20%(5人に1人)に到達し、2040年には25%(4人に1人)を超えると推測されています。長い人生で認知症といかに共生するのか、認知症のある方が暮らしやすい社会をどのようにつくるのかは、とても重要なテーマです。前田 隆行(まえだ たかゆき)さんは、介護保険サービスの利用者を単に「ケアされる側」にしない新たなデイサービスの形を模索し、2012年に東京都町田市で通所型介護事業所DAYS BLG!*(以下、BLG)を創設。さらにそのノウハウを伝えるべく活動を続けています。前田さんに、認知症を持つ方とのコミュニケーションで大切なことや「認知症にやさしいまち」について伺いました。

*DAYS BLG!の由来:DAYS(日々)とBarriers(障害)、Life(生活)、Gathering(集う場)の頭文字、そして!(感嘆符、発信)。毎日の生活場面で生きづらいと思う社会環境が障害であり、その障害を感じている人たちが集い発信することで、生活しやすい社会をつくろう」という意味が込められている。


「認知症にやさしいまち」とは

最近、「認知症にやさしいまち(Dementia Friendly Community:DFC)」を推進する地域が増えてきました。認知症にやさしいまちとは、どのようなものでしょうか。

認知症の当事者が生活の中で感じている課題や障壁について理解し、社会・環境が変わることで、認知症の当事者が暮らしやすくなる。これが「認知症にやさしいまち」だと思います。大事なことは、認知症にやさしいまちというのはつまり、誰にとってもやさしい町であるという点です。

たとえば、「スローレーン」「スローショッピング」という考え方をご存知でしょうか。これは、店舗などで特定のレーンではゆっくりと支払いができるようにするコンセプトです。そのレーンに並ぶ人はゆっくりでよいと承知しているので、たとえば認知症のある方や幼い子どもを連れた親、けがをされている方などが焦らずに支払いができるのです。

認知症のある方だと、小銭でお財布がパンパンになっている場合があります。本当は時間をかければ小銭の計算ができるのに、レジで時間がかかるのを避けるために毎回お札で支払ってしまい、小銭が増えてしまうケースが多いようです。これが、スローレーンなら時間をかけて釣り銭がないように支払いができます。

これは1つの例に過ぎませんが、認知症の方が感じている課題や障壁を1つ1つ取り除いていくと、その社会・環境は、私たち皆が住みやすい、やさしい町になるはずです。

 

イメージ 写真:PIXTA


認知症のある方とのコミュニケーションで心がけていること

失敗を笑い飛ばせるおおらかな関係で

記事2でお話ししたように、失敗を責めないというのもコミュニケーションにおける1つのポイントですし、BLGの皆がおおらかな気持ちでいられることが大切だと思います。人は誰でも失敗しますから、そのときに責めたり怒ったりするのではなく、笑い飛ばせるほうが関係は良好に保てるはずです。

それから、たとえばシャンプーとボディソープを間違えて使ってしまった、ということがあったとしますよね。そのようなときにはシールを貼ったりボトルを変えたりして、分かりやすいように工夫するというのも大事ですね。

 

フィルターを外してフラットに

BLGでは利用者さんを、スタッフと同じ場所で同じ時間を共有する「メンバー」と捉えています。水平の関係で、お互いに弱さを開示しながら、助け合う関係です。私が大切にしているのは「認知症だから」というフィルターを外して、接することです。そういう意味では、認知症だからと特別なことをするのではなく、人と人が共に気持ちよく過ごすための根本的なコミュニケーションと何ら変わりないのです。

 

BLGのメンバーが活動する様子

 

ご家族はどのように接したらよいか

認知症の方のご家族から「どのように接したらよいでしょうか」と相談を受けることがしばしばあります。私は「何も変えなくてよいですよ。今までどおりで大丈夫です」とお答えします。認知症を発症したからといってご本人の人柄が大きく変わるわけではないですし、家族との関係も変わりません。実際、「認知症になってから口数が少なくなって心配です」というご家族に「それは急に変わったことですか。それとも以前も同じでしたか」と尋ねると、「そういえば夫は無口な人だったわ」ということもあります。

「ご家族には本人が認知症であることを受容してください」とも伝えます。ご本人が認知症を受容し、ご家族が認知症を受容し、社会参加ができる場所がある。この3つがそろったときには、きっと症状の進行が緩やかになるはずです。おおらかな気持ちで、フラットに、それまでの家族の関係を続けていくことが大切だと考えています。

記事一覧へ戻る

あなたにおすすめの記事

詳しくはこちら!慢性期医療とは?
日本慢性期医療協会について
日本慢性期医療協会
日本介護医療院協会
メディカルノート×慢性期.com