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「慢性期多機能病院」を体現する国分中央病院――理事長・藤﨑剛斎先生の思い

国分中央病院 理事長 藤﨑剛斎先生

2025年の到来を目前に「慢性期多機能病院」、すなわち慢性期救急・治療への対応と集中的なリハビリテーション(以下、リハビリ)の提供、在宅医療・介護の機能を備えた病院の重要性はますます高まっています。そんな時代のニーズを捉えて地域を支える医療法人美﨑会 国分中央病院で理事長を務める藤﨑 剛斎(ふじさき たかよし)先生に、慢性期多機能病院の意義やあり方についてお話を伺いました。


美﨑会が体現する「慢性期多機能病院」とは?

国分中央病院は主に▽長期急性期▽急性期支援(ポストアキュート)▽在宅支援(サブアキュート)――の3機能を有する病院です。すなわち長期急性期では長期の入院を要する患者さんに対して多職種で疾病治療を行い、急性期病院での治療後にリハビリや全身管理が必要な患者さんには急性期支援で在宅復帰をサポートします。そして在宅支援では、在宅・施設からの緊急時に迅速に患者搬送と対応を行っています。
中でも特徴的な機能は「長期急性期」です。高齢の方、特に介護を必要とする方が肺炎や心不全を発症したようなケースでは、短い入院期間では十分に状態が回復できない場合も多々あります。そのような患者さんに対して、長期で急性期の管理を行うための機能を備えているのです。また、救急機能に関しては高度急性期機能のいらない交通外傷や疾病に幅広く対応するとともに、近隣のクリニック(在宅医療含む)の要請を受けて救急搬送を行う「高齢者在宅救急」にも力を注いでいます。救急救命士と特定看護師、必要に応じて医師も同行し、迅速な対応に努めています。自院の救急車を使うことで、公的救急車の適性利用に少しでも貢献したいという思いもあります。
さらに法人としてはサービス付き高齢者向け住宅「メディカーサ国分中央」と、特別養護老人ホーム「ソ・ウェルこくぶちゅうおう」を近隣に備え、2022年初夏には介護医療院をオープンする予定です。このようにして私たちは▽慢性期救急機能▽慢性期治療機能▽リハビリ集中機能▽医療と介護機能の同時充実▽在宅医療介護機能――を備えることで、「慢性期多機能病院」として地域の医療・介護ニーズに応えています。


霧島市の特徴――医療・介護資源と需要は?

当院がある霧島市は、鹿児島県本土の中央に位置し、鹿児島市に続く人口規模を誇ります。
全国と同様に全体的な人口減少の傾向はあり、また団塊の世代が一気に後期高齢者になる2025年問題への懸念はあります。ただ、鹿児島県の中では鹿児島市に次いで生産年齢人口が多い地域でもあります。自然が豊かでありながら、いわゆる限界集落や過疎化の進行する地域とは異なり、若年層も住みやすいエリアです。
医療の面では、市内に高度急性期病院がありません。ただ、地域内での一般急性期病院や介護施設との連携体制はうまく機能しているように思います。日本医師会の地域医療情報システムによれば、今後20年は医療の需要が現状(2020年時点)の107%ほどに増加し、介護の需要に至っては現状(同)の137%にまで増加すると見込まれています。

鹿児島県霧島市の風景 写真:PIXTA


救急対応機能から住まいまでを一体で提供する意義

当院を利用する患者さんのバックグラウンドは多様ですが、慢性期病院として長期入院が必要な患者さんを受け入れることはもちろんのこと、ポストアキュートの患者さんに対する集中的なリハビリ提供や、地域内のクリニックから要請を受けて緊急搬送される患者さんの受け入れなども多いです。
患者さん側からすると、長期急性期機能があることにより当院で入院を完結することができますし、治療が終わって在宅や施設に戻った後に状態が悪くなった場合にも再び当院で治療・ケアを受けることができるので安心感を持っていただけると思います。
介護医療院がオープンすれば、さらに「住まい」の機能までを提供することが可能になり、利用者さんは住み慣れた地域で医療・介護・生活を続けられるようになるでしょう。


ニーズが高まる慢性期医療――今後の発展の可能性

厚生労働省が進める平均在院日数短縮の流れを受け、近年、特に急性期病院での在院日数はかなり短くなっています。その状況下で患者さんを適切に慢性期病院へ転院させる必要性が高まり、慢性期医療の存在感が強まっているように思います。日本療養病床協会が「日本慢性期医療協会」に改称したのが2008年で、今から10年前は医療者の間で「慢性期医療」という言葉もあまり知られていなかったことを思えば、これは大きな変化ではないでしょうか。
高齢の患者さんは、入院と同時にリハビリを早期に始めないといけない場合も多く、そこで集中的に多職種でリハビリとケアを提供できる慢性期病院は大きな価値があると思います。たとえば誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)1つとっても、慢性期病院が患者さんを受け入れ、元の生活に早く戻れるよう治療・リハビリ・ケアを行うことができれば、患者さんにとっても医療経済的な観点でもメリットが大きいのです。そこはまさに慢性期病院の腕の見せ所でしょう。


慢性期医療を目指す若手医師に向けて

私自身は、医学部を卒業後に急性期医療の現場で研鑽を積みました。2002年には父が開設した国分中央病院に戻り、慢性期医療の世界に触れることに。当院はお伝えしているとおり、長期急性期や救急搬送の受け入れなどの機能を担う多機能な慢性期病院ですから、やりがいがありました。
慢性期医療はかなり守備範囲が広いです。人間の頭の先からつま先まで一通り診られないといけませんし、高齢の方は特に複数の病気を抱えていたり体力が衰えていたりと、治療・ケアが一筋縄ではいかない場合も多々あります。そこが慢性期医療の難しさでもあり、面白さ・やりがいでもあるのでしょう。
振り返ると、急性期医療を学んで1つ専門分野を習得してから慢性期医療の世界に入ったのはよかったと思います。多くの臨床医は卒業後に急性期医療の現場で働くでしょう。慢性期医療に興味のある若手医師にも、自分の武器になる専門分野を身に付けてからぜひこの世界に飛び込んでほしいですね。


理事長としての思い、これからの展望

私は、高度急性期以外の患者さんは基本的に我々慢性期病院が全て受け入れるべき(受け入れる能力がある)と考えています。それはおそらく、少人数であっても経験豊富な医者と看護師がいれば実現可能です。
私たちはこれからも、救急対応の機能を備えて患者さんの急変時に対応しつつ、集中的なリハビリで自宅復帰をサポートし、さらには「生活」の機能で人々を支える――このような法人・病院のあり方を守り続けたいです。

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