慢性期医療とは、本来、急性期治療を完了した、あるいは在宅療養中に状態が悪化した患者さんに対し、継続的な治療とリハビリテーションを行うことで、在宅復帰を目指すものです。
しかし、慢性期医療の役割は時代の変化とともに拡大しつつあります。これからの慢性期医療は、地域に密着し、あらゆる疾病の患者さんに対応する、いわば「高度急性期医療以外をすべて担う」存在ともいえるでしょう。
世界でも類をみない超高齢社会となった日本。2025年には、後期高齢者(75歳以上)の人口が2,179万人にのぼると推測されています。このような変化に伴い、慢性期医療の重要性は高まり続けています。
高齢者は加齢に伴いさまざまな臓器の機能が低下しているため、病気にかかったときに主病名の臓器の治療を行うだけでは、その他の臓器の随伴症状(低栄養・脱水など)はかえって悪化することもあり、短期間では治らないケースも多くみられます。
慢性期医療では、急性期治療後の患者さんに対し、診療科にとらわれない幅広い知識と、リハビリテーション・看護・介護・栄養など、職種横断的な総合診療医としての知識を用いて、患者さんが持つ複数の疾患、社会的背景、生活面などを考慮し、「全人的な治療」を行います。
また、私たちは急性期医療と慢性期医療の連携、すなわち急慢連携のさらなる強化に取り組んでいきたいと考えています。
総務省の2017年の救急出動件数等の報告によると、65歳以上の高齢者の全国救急搬送件数は、330万件を超え、全体の約60%を占めます。このことから、軽症・中等症の患者さんの伸びが多くなっていることがわかります。よって、慢性期病院では高齢者の軽中等度の患者さんや、在宅療養患者さんの急性増悪など積極的に受け入れ、一方、救急病院では、本当に救急治療の必要な重症患者さんを優先すべきであると考えます。
これから地域での暮らしを支えていくためには、慢性期医療が中心となってリハビリテーションをはじめ、個々の患者さんの病態に応じた医療環境を整備し、認知症、ターミナル、在宅医療なども担っていかなければなりません。「慢性期医療がなければ日本の医療は成り立たない」の信念に基づき、私たちは慢性期医療のさらなる質の向上を図り、日本の未来を支えていく所存です。
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